キッチンの高さって重要?後悔しないためのチェックポイント13選
新しいキッチンを選ぶなら、デザインはもちろん、使いやすさは重要なポイントですね。使いやすいキッチンの絶対条件は、「最適な高さ」。
今回は、キッチンの高さについて、後悔しない選び方の基準や注意点をお伝えします。
ぜひ、理想のキッチン選びの参考になさってくださいね。
キッチンの高さが重要な理由
キッチンは毎日のお料理作りで長時間を過ごす場所。食材の下ごしらえから調理、後片付けまで、たくさんの作業をこなす必要があります。そのため、キッチンの高さが合わないと、使いにくく作業に不便が生じます。
身長に対してキッチンが低すぎると、腰に負担がかかり腰痛を引き起こす原因に。反対にキッチンが高すぎると、肩が上がってしまい肩こりに繋がることもあります。
これではどんなに素敵なキッチンでも、毎日のお料理にストレスを感じてしまいそうです。こうした理由から、使う人にあった「高さ」は、快適なキッチンに必要不可欠な要素なのです。
使いやすいキッチンの高さを身長からもとめる公式
まずは、キッチンのワークトップ(天板)の高さについて基本的な考え方を解説していきます。
キッチンの高さの見極め方には、次のような公式が一般的です。
<身長からキッチンの高さを求める公式> |
「身長÷2+5㎝」 |
例えば、身長160㎝の方なら、
「160÷2+5=85」
となり、85cmがワークトップ(天板)の高さの目安となります。これを身長別に当てはめると、身長とキッチンの高さの目安は次の通りです。
身長 | キッチンの高さ |
155cm | 80cm |
160cm | 85cm |
170cm | 90cm |
キッチンメーカーでは、これらの高さを標準として、多くのキッチンで5cm刻みのラインナップを揃えています。
以前はキッチンの高さは80cmが一般的でした。昨今は、日本人女性の平均身長が158cmということから、85cmのキッチンが主流となっています。
ご自宅のキッチンは何cmでしょうか。何となく使いにくさを感じているなら、ワークトップ(天板)の高さと身長が合っていないことが原因かもしれません。
身長から高さを決めるこの公式は、キッチンの高さ選びの基準として大変分かりやすいものですが、これだけを鵜呑みにすると思わぬ落とし穴にはまってしまうこともあります。
なぜなら、キッチンを使う人の身体的特徴や使い方は一様ではないからです。それでは、どのような基準で最適な高さを決めたら良いのでしょう。
キッチンの高さで後悔しないためのチェックポイント8個
ここからは、使う方や使い方の違いから、最適な高さを見極めるための具体的なチェックポイントをご紹介していきます。
①身長からキッチンの高さを計算してシミュレーションしてみる
まずは先ほどお伝えした公式から、身長を元に最適なキッチンの高さを計算してみましょう。計算結果はいかがでしょうか。
もし、現在のキッチンの高さとは違う結果になっても、普段の環境に慣れてしまっていると、本当に使い易いのか分かりにくいかもしれません。
そんなときは、自宅にあるもので高さをシミュレーションしてみるのがおすすめです。
- 現在より高いキッチンを試すなら :①キッチンカウンターにまな板や本を重ねて調節②スリッパやマットを敷いて調節
- 現在より低いキッチンを試すなら :ダイニングテーブルに台を置いて調節
実際にシミュレーションして、身長にあった高さが最適かどうかを検討してみましょう。
②肘を起点とした新基準
キッチンでは、食材を切ったり鍋やフライパンを振ったりと、肘を中心として腕を動かす作業が多いですね。
そこで、高さの目安として「肘」を基準にするという考え方が注目されてきています。まずは、肘を90度に曲げて、床面からの高さを計ってみましょう。
<肘の高さを基準としたキッチンの高さの目安> |
「肘高-10cm」 |
とされています。
たとえ身長が同じでも、人によって手足の長さや姿勢など、身体的な特徴はさまざまです。そんなとき、肘を起点としたこの基準は、キッチンの高さに迷ったときの指針となります。
③スリッパやマットなど日常の使い方は?
最適な高さ選びには、キッチンを利用するときの日常のスタイルも考慮しておく必要があります。
たとえばスリッパを履くかどうか、キッチンマットを敷くかどうかなどは、キッチンの高さ選びに大きく影響します。
ショールームでキッチンの高さを確認するときには、キッチンに立つときと同じような高さの靴を履いたり、スリッパを持参するなど、普段通りの環境で試せるようにしていきましょう。
④ワークトップ(天板)ではどんな作業をする?
ワークトップ(天板)での作業も、日常的な使い方を振りかえってみましょう。
ワークトップ(天板)が高すぎると、たとえば硬い食材を切るときに力が入りにくく、負担に感じることがあります。
ワークトップ(天板)そのものはちょうど良い高さだったとしても、お使いのまな板の厚みなど、頻繁に利用する調理器具も考慮して検討していくのがおすすめです。
⑤シンクの深さは?
キッチンの高さ選びというと、ついワークトップ(天板)ばかりに気をとられてしまいがちですが、実はシンクの高さも忘れてはいけないポイントです。
シンクで食材の下ごしらえや洗い物をするときには、前かがみの姿勢になるので、高さが合わないとストレスがかかってしまいます。
ただでさえ大変な洗い物はできるだけ負担にならないようにサッと済ませたいところですね。シンクの高さ選びは、シンク自体の深さを確認しましょう。
シンクの深さは一般的に17~20cm程度です。選ぶシンクによっては、さらに前かがみの姿勢になる可能性もあります。メーカーによってさまざまな仕様がありますので、実物でしっかり体感しておきましょう。
⑥加熱機器はガスかIHか?
ワークトップ(天板)、シンクの他にキッチンの大事なパーツとして、加熱機器があります。
ガスコンロかIHクッキングヒーターのどちらを選ぶかで、高さが異なります。
ガスコンロには五徳の立ち上がりがあるので、ワークトップ(天板)より数cm高くなります。IHクッキングヒーターならワークトップ(天板)と高さはフラットになります。
これまでよりカウンターを高くする場合は、この点も考慮しておきましょう。深さのあるお鍋を使う、フライパンを振るなど、頻繁に行う調理のスタイルから使い易いのはどちらかを検討してみましょう。
⑦誰がメインで利用するか?
家族でキッチンを利用する場合には、誰がキッチンをメインで利用するのかも高さ選びのポイントです。
奥様やご主人様、親子二世帯でどちらもメインで共有する場合は、どちらかというと身長が高い方を基準とするのがおすすめです。
これは、キッチンのワークトップ(天板)が高い場合には、スリッパやキッチンマット、まな板などで比較的調整しやすいということが理由です。
⑧空間のイメージはキッチンの高さで変化する
最近はリビングとキッチンが一体となったLDKの間取りが人気です。そのためキッチンは空間の主役とも言えます。
キッチンの高さは、空間の広がりや開放感を演出するポイントにもなります。目線が低くなれば、より広々と感じられるので、バランスのよい高さや形状を選択したいですね。
キッチン本体以外の高さも重要!使い勝手向上のポイント5個
キッチンの高さには、他にも検討しておくと良いポイントがあります。
<高さを検討しておくと良いポイント>
- 水栓の高さ
- 取っ手の高さ
- 吊戸棚の高さ
- レンジフードの高さ
- 周辺収納の高さ
①水栓の高さ
キッチンの水栓も形状や機能がますます多様化していますので、高さの確認が必要です。
シンクとの相性もありますが、背の高いお鍋や調理器具を扱う時に支障はないか、水撥ねの心配はないかもチェックしておきましょう。
②取っ手の高さ
キッチン本体の引き出しの取っ手の高さも大事なチェックポイント。
頻繁に開け閉めする引き出しの取っ手の高さや形状も、楽な姿勢で引き出せるどうか、使い勝手を試しておきましょう。
③吊戸棚の高さ
キッチン本体の上部に付ける吊戸棚は、キッチンの収納力をアップする強い味方。吊戸棚があると、調理器具や調理雑貨、食材のストックなどにも便利ですね。
そんな吊戸棚も、高さが合わないと物の出し入れが面倒になってしまいます。せっかくつけた吊戸棚が、開かずの扉になってしまうようではもったいないですね。
人の身長を基準にして、楽な姿勢で手を上に伸ばしたときに届く高さは、次のように定義されています。
身長×1.2
たとえば身長が160cmの方なら192cm程度となります。これ以上だと背伸びをしなくてはなりません。
キッチンメーカーの吊戸棚には、高さのバリエーションがいくつも用意されています。まずは、ご自身が楽に届く範囲はどこまでかを把握してから選びましょう。
吊戸棚の内部は、棚以外にも使う方のニーズに合わせて豊富なラインナップが揃っています。棚が下りてくるダウンウォールなら、高さの負担を感じることなく有効活用できそうですね。
④レンジフードの高さ
吊戸棚とともに高さを考えたいのがレンジフードです。
レンジフードは消防法により、安全を考慮してコンロから80cm以上離して取り付けるということが決められています。このため、天井やキッチンのワークトップ(天板)の高さとも関連して考えていく必要があります。
レンジフードで良くある高さの失敗が、作業中に頭をぶつけてしまうというもの。憧れのアイランドキッチンにしたけれど、お料理のたびに頭がぶつかるのでは困ってしまいますね。
レンジフードにも、深型や浅型といった高さの種類がありますので、工事の面からも検討して最適なものを選びましょう。
⑤周辺収納の高さ
キッチン本体ばかりでなく、食器棚や家電を置くための周辺収納の高さも、使い勝手の良いキッチンづくりのポイントです。
特に家電を置くカウンターの高さは、作業効率アップのカギとなります。普段の作業をイメージしてみると分かりやすいでしょう。
炊飯器でご飯をお茶碗に盛るならキッチン本体と同等か、やや低めが便利です。電子レンジでの食材の出し入れや、ポットからお湯を注ぐなど上下の動きがあまりないなら、キッチン本体より少し高めが作業しやすいでしょう。
キッチン高さのラインナップ
ここまで、最適な高さのキッチンを見極めるポイントをお伝えしてきました。実際のキッチンの高さにはどのような種類があるのでしょうか。
メーカーのキッチン
メーカーのシステムキッチンの多くは、JIS規格で定められた80、85、90、95cmの5cm刻みで高さがラインナップされています。
今後は、多様化するニーズに応えて2.5cm刻みの展開など、ますます選択の幅が広がることでしょう。
造作のキッチン
造作キッチンなら、身長や使い勝手に合わせて、どんな高さでも自由に設定することができます。場合によってはコストが高めになることもありますが、こだわりのキッチンを造るにはおすすめの方法です。
また、メーカーのキッチンを利用して、建築的な工事で床の高さを調整して好みの高さのキッチンを実現することもできます。
ただし、床の高さ調整は、水やガスの配管などの専門知識が必要です。工事が可能かどうかは、あらかじめ専門業者に確認しましょう。
ショールームの活用方法
これまでお伝えしたように、キッチンの高さを検討する要素はさまざまです。ご自身や家族に合った高さを決定するには、やはり実物を確認するのが一番です。
メーカーのショールームには、高さを実感できるキッチンが多数展示されています。
訪問するときには、あらかじめ現在のキッチンの高さで使いやすい点や、使いにくい点を整理しておくとよいでしょう。
高さの候補が複数あるなら、キッチンのワークトップやシンク、加熱機器のうち、どこで行う作業が多いのか、また負担に感じるのかで、どの部分の高さを優先するかを順位づけておくのも有効です。
ぜひ、カタログやWeb上では分からない使い勝手を、細部までトコトン確認してみてください。
最適な高さのキッチンなら、毎日のお料理がもっと楽しくなりそうですね!