間取りはどうしたら?プロが考えた理想のキッチンアイデア10選
キッチンは住まいのシンボル的存在。家族の健康を願って食事をつくったり、コミュニケーションをとったり、まさに住まいのプラットホームといっても過言ではない場所ですね。
新築やリフォームを考えるとき、キッチンの間取りは最も重要な要素のひとつです。けれども、「具体的にどんな間取りにしたらいいか分からない。」という声も多く聞きます。
この記事では、キッチンの間取りで後悔しないために、検討時にうっかり見落としてしまいがちなポイント10選を事例とともにご紹介します。
使い勝手よく、家族の笑顔あふれるキッチンをつくるために、ぜひ参考になさってください。
キッチン間取りをビフォーアフターで検証
まずは築20年ほどの住宅のキッチンを例に、間取りのビフォー&アフターをみていきましょう。
ビフォーの間取りは、キッチンとリビングダイニングが壁で区切られたセミオープンタイプのLDKです。
ビフォー平面図
壁が多く、キッチンの独立性が高い
キッチンとダイニングの空間は上下の壁で区切られているので、独立性が高いというメリットがありますが、開放感にはやや乏しいというデメリットがあります。
キッチンは家電置き場が狭く、ゴミ箱スペースもないため、勝手口への動線もふさがれてやや不便なものになっています。
作業動線が悪く、ゴミ箱で勝手口が塞がれている
キッチンの動線を整理して使い勝手をよくしたい、また、お料理中も家族とのコミュニケーションを図りたいというご希望を叶えるため、次のように間取りを変更しました。
アフター平面図
キッチン上部の壁を取り除くと、空間に一体感が生まれて明るく開放的になります。目線をさえぎることなく、お料理中も家族とのコミュニケーションがとれるようになりました。
壁をなくして開放感のある空間に
和室をリビングと繋げて、食事のあとに家族がゆったりとくつろげるスペースもできました。
和室をつなげてLDKに。家族が思い思いにくつろげるスペースに
キッチンは、食器や家電などの収納も充実したものに。お料理の下ごしらえから調理など一連の作業の順番を踏まえた配置や、ゴミ箱スペースも確保して勝手口への動線もスムーズになりました。
キッチンでの作業順序にに合わせた動線に
このように、同じスペースでも、キッチンの間取りを変更することで、使い勝手やイメージをガラリと変えることができます。
キッチン間取りで後悔しないためのポイント10選
ここからは、キッチンの間取りを検討するときに気を付けたいポイントを、具体的にご説明していきます。
①吊戸棚をつけるならとことん利用できる形に
最近はすっかり主流となった対面キッチン。まずは対面キッチンに吊戸棚をつけるかどうかを検討しましょう。
吊戸棚をつけるメリットはもちろん収納が増えることですが、目線より高い位置の収納は使いにくくなる場合もあります。
吊戸棚の仕様には、開き扉やスライド式などさまざまなものが揃っています。せっかくつけた吊戸棚が、まちがっても開かずの扉とならないように、用途に合わせたものを見つけて上手に利用できるといいですね。
また、吊戸棚の有無で空間の仕上がりは大きく変わります。キッチンに少し独立性をもたせたい、開放的にしたいなど、暮らしのイメージも固めていきましょう。
②数センチで大違い!腰壁の高さ
対面キッチンをオープンにするか、セミオープンにするかも悩みどころのひとつ。
オープンタイプのキッチンは、バツグンの開放感とおしゃれな印象で高い人気があります。ただし、キッチンが丸見えになってしまうため、収納計画をしっかりして生活感を出さないようにしておく工夫も必要です。
セミオープンタイプのキッチンは、リビング側に腰壁を造ることにより、手元を程よく目かくしすることができ、実用的といえます。
腰壁の高さで、手元の見え方や空間のイメージが変わりますので、しっかり検討しておきましょう。
腰壁の高さによる見え方違い
腰壁95cm | 腰壁105cm | 腰壁115cm |
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③キッチンの要!冷蔵庫の位置
キッチンの間取りで最も重要なレイアウトのひとつが、冷蔵庫の位置です。冷蔵庫の位置に迷ったときには、キッチンでの作業動線を考えると良いでしょう。
例えば、
- 買い物から帰ってきて、冷蔵庫に食材をしまう。
- 調理をするとき冷蔵庫から食材を取り出し、調理台に並べる。
- 食事中にダイニング側から飲み物や調味料を取りに行く。
など、どんな動線があるか、またスムーズに動けるか、一連の行動を思い浮かべてみることをおすすめします。
冷蔵庫を中心とした動線の例
④周辺収納でいつもすっきりしたキッチンを実現
キッチン本体だけでなく、キッチンの背面など周辺の収納についてもあらかじめ計画をたてておきましょう。キッチンに「食器や家電が納まりきらなかった。」というのは良くある失敗例です。
今、使っているものや、これから買い足したいものがあるならリストアップして、どう納めるかを考えてみましょう。
カウンタータイプの周辺収納。家電を一列に並べて使い勝手よく
キッチンとお揃いの据付けタイプの周辺収納なら、寸法の調整もしやすく、統一感のある空間に仕上げることができます。いつもすっきりしたキッチンが実現しますよ。
⑤パントリーの思わぬ落とし穴
「キッチンに大きなパントリーを作るのが憧れ」という方も多いでしょう。パントリーの後悔で多いのが、奥行きの寸法が深すぎるというもの。奥行きが深いパントリーは、食材や調理器具を納めるのにデッドスペースが生じる場合があります。
実はキッチンで利用するものは、一部の大型家電をのぞき、一般に奥行きが30~40㎝程度で納まるものがほとんどです。
闇雲に大きなパントリーを計画すると、物の出し入れにムダが生じて使い勝手が悪くなってしまいます。せっかくの限られたスペースを有効に使えるように計画しましょう。
⑥影の主役!ゴミ箱スペースを忘れずに
美しいキッチンを保つには、ゴミ箱スペースが必要不可欠です。家庭では45リットルサイズのゴミ箱が一般的ですが、ゴミ箱の形状によってもスペースに差が生じます。
ゴミ箱スペースは、ゴミの量や分別の種類、ゴミを捨てる動線などを考慮して決めていきましょう。
勝手口に近い位置のゴミ箱スペース
⑦カウンターは使う人と使い方に合わせた高さで
使いやすいキッチンはカウンターの高さが重要なポイントのひとつです。キッチンカウンターの高さ選びは「身長÷2+5㎝」という公式にあてはめるのが一般的な目安となっています。たとえば身長が160㎝の方なら85㎝といった具合ですね。
ただし、スリッパを履いたり、キッチンマットを利用するなど、普段どんなスタイルで作業をするかによって、使いやすい高さも変わります。高さの目安にこだわりすぎずに自分にあったものを選んでいきましょう。
⑧渋滞にならないための通路幅を確保して
キッチンでの作業は、立ったりしゃがんだり、扉を開けたりとさまざまな動作がともないます。また2人以上ですれ違うときには、ある程度のスペースがないとストレスの原因になってしまいます。
キッチンの通路幅は90㎝以上確保するのが理想的。例えば、
- ストレスなく人がすれ違える。
- キッチンの引き出しを最大に開けたときも余裕がある。
- しゃがんで作業ができる。
など、こうした動作をムリなくできる寸法の目安が90㎝です。
通路幅が90㎝以上なら、過度にストレスを感じずに人がすれ違える
また、通路幅はやたらと広すぎても、かえって作業しにくくなってしまいます。家族構成や使い方にもよりますが、120㎝くらいまでが使いやすい通路幅の目安となるでしょう。
⑨コンセントで劇的に便利な空間に
キッチンとともに、コンセントについても見直しをおすすめします。キッチンでは、フードプロセッサーやミキサーなどの調理家電を利用することもありますね。
また、最近は、お料理のレシピをスマホやタブレットで確認する方も多いでしょう。こんなとき、キッチン側にコンセントがあれば劇的に便利になります。
コンセントを追加する工事は、キッチンの間取り変更と同時に計画すれば効率的で一石二鳥です。ぜひ、キッチンの間取り変更にはコンセント工事も計画しておきましょう。
調理スペースにコンセントがあれば、今よりもっとお料理がスムーズに
⑩ダイニング側の収納
キッチン側だけでなくダイニング側の収納を充実させることも、快適な暮らしには欠かせないポイント。
ダイニングで利用する小物家電や、お茶などのし好品、また最近ではテレワークのためのパソコンや文房具など、ダイニング近くに収納しておきたい物はどんどん増えています。ダイニングテーブルが物で占領されていたのでは、せっかくの素敵な空間が台無しになってしまいますね。
ダイニング側の収納は、キッチンやコンロ前の壁を利用するのもおすすめです。実用的にするなら、奥行きを持たせたり、扉を付けたりしても良いでしょう。飾り棚としてインテリアを楽しむのもいいですね。
キッチンの腰壁を利用した収納
キッチン間取りをプロに相談するコツ
これまでお伝えしてきたように、キッチンの間取りで後悔しないためには、さまざまなポイントがあります。
これらを踏まえて、どんなキッチンの間取りにしたいか、家族でイメージや希望をどんどんあげてみましょう。
とはいえ、理想の暮らしを実現するためにどのような間取りが最適か、具体的なプラン作りは、やはりプロに相談するのが一番。
まずは一度ショールームを訪ねてみてはいかがでしょうか。
ショールームでは、用途に合わせたキッチンや収納の使い勝手を実際に確認できるほか、専門のスタッフからキッチンや間取りに関する的確なアドバイスを受けることができます。
ショールームを訪問するときのコツは、事前に現在のキッチンの寸法を計測し、基準をもっておくことです。
たとえば
- キッチンカウンター、吊戸棚などの高さや幅、奥行き。
- キッチンの通路幅。
- 冷蔵庫や主な家電の寸法。
などがチェックポイントです。基準があれば、今より大きい、小さい、高い、低いなどがはっきり分かり、使い勝手が改善されるのかどうかという判断もつきやすくなります。
新築やリフォームでのキッチンの工事や間取り変更は、一生のうちでそう何度も経験するものではありません。
キッチンの間取り変更で後悔しないために、事前にしっかり情報収集をしていきましょう。ぜひ、家族の笑顔あふれるキッチンを実現してください。